足関節骨折リハビリテーション

足関節骨折オペ後の急性期リハビリテーションの3つのポイント(浮腫管理・患部外リハ・運動療法の実際)

足関節骨折の術後急性期(おおよそ術後1〜2週)は、廃用予防と浮腫管理が中心になります。
骨癒合はまだ進行途中であり、過度な負荷は禁忌です。一方で、動かさないことでの廃用・腫脹増悪も避けなければなりません。
そのため、「安全に動かす範囲で、全身を維持する」という考えが基本になります。

足関節骨折、急性期リハビリの3つのポイント

足関節骨折の術後は、安静を保ちながらも廃用を防ぐという非常に繊細なバランスが求められます。
固定や疼痛、腫脹などによって活動が制限される一方で、動かさなければ筋力低下・関節拘縮・循環障害が進行します。

特に急性期では、理学療法士が**「何を・どのタイミングで・どこまで」**行うかが、
その後の回復スピードや可動域の獲得に大きく影響します。

ここでは、私が臨床で重視している
浮腫管理・患部外リハビリ・運動療法」の3つのポイントを解説します。
いずれも、急性期から安全に進めるための実践的な視点です。

1 浮腫管理

足関節骨折の術後は、組織損傷・手術侵襲・下肢の静脈還流低下などが重なり、浮腫(むくみ)が非常に起こりやすくなります。
浮腫を放置すると、**創部治癒の遅延・疼痛の増強・可動域制限・DVT(深部静脈血栓症)**といった二次的な問題につながるため、急性期からの適切な管理が不可欠です。

○下肢挙上

浮腫管理は術前・術後どちらも最重要!

術直後、そして手術前の浮腫管理は最も重要です。
なぜなら、浮腫(むくみ)の残存は関節可動域制限(ROM制限)につながるからです。

浮腫が強いまま可動域訓練を進めると、疼痛の増悪や関節包・皮下組織の伸張性低下を引き起こし、
結果的に可動域の回復が遅れてしまいます。
そのため、まずは「浮腫を残さない工夫」が理学療法の第一歩です。


患者への指導:「寝ているときは下肢を挙上しましょう!」

急性期では、患者自身にできるセルフケアとして
寝ているときは下肢を挙上しておきましょう」という指導が非常に大切です。

では、よく聞く「心臓より上に挙げる」とは、具体的にどのくらいの高さを指すのでしょうか?


理学療法士が実践するおすすめの高さ

私の経験上、枕2〜3個分の高さが最も現実的で効果的です。
あるいは、

枕2個+タオルケットを畳んでその上に足を乗せるくらい
が理想的な高さです。

これにより、

  • 下腿静脈の血液・リンパ液のうっ滞を軽減
  • 夜間の腫脹を抑制
  • 翌日の関節可動域訓練をスムーズに実施

といった効果が期待できます。

○患部冷却(アイシング)

  • 創部や腫脹部位に10〜15分程度の間欠的冷却
  • 直後の温熱は禁忌
  • 感覚障害がある場合は低温障害に注意

○なかなか浮腫が取れないときの対処法

足関節拘縮の評価と運動療法より引用

なかなか浮腫がとれない時は、医師許可のもと、弾性包帯で軽圧迫し静脈還流を促進するのも一つの手です。

また、患者自身での巻き方を指導しておくと、退院後のセルフケアにつながります。

2 急性期の患側の運動療法

術後急性期は「まだ動かせない」と思われがちですが、
動かせる範囲で体を動かすことが、回復を早める大切なポイントです。

患部を守りつつ、他の関節や筋肉を積極的に動かすことで
血流を促進し、廃用による筋力低下や関節拘縮を防ぐことができます。

では、実際にどんな運動が安全に行えるのでしょうか?

○非固定関節の可動域訓練

術前・術直後はギプスやシーネ固定により、動かせる範囲が大きく制限されています。
しかし、まったく動かさない期間を作らないことが、早期回復のためには重要です。
この時期に動かすべきポイントは、足趾と膝関節です。

なぜ動かす必要があるのか?

循環を促進して浮腫を軽減する

長時間の安静や固定により、下肢の血流・リンパ流は低下します。
足趾や膝関節を動かすことで、筋肉のポンプ作用が働き、静脈還流が改善します。
これにより、腫脹や疼痛の軽減、DVT予防にもつながります。

関節周囲の滑走性を保つ

足趾の伸展・屈曲運動
 → 足趾の筋群(長母趾屈筋・伸筋など)を動かすことで、足関節周囲の筋・腱の滑走を維持できます。

膝関節の屈伸運動
 → 二関節筋である腓腹筋を動かすことで、下腿後面の組織滑走を良好に保ち、後の背屈制限予防にもつながります。

具体的な運動方法

【足趾の運動】

姿勢:仰向けで行う

方法:足趾の屈曲・伸展をゆっくり10回×3セット

ポイント:痛みのない範囲で行い、腫脹や熱感が強い場合は回数を減らす

【膝関節の運動】

姿勢:仰向けまたはうつ伏せ姿勢で行う

方法:膝関節の屈伸を10回×3セット

ポイント:可能であれば自動運動、難しい場合は他動的に軽く屈伸を促す

3 患部外トレーニング

○上肢・体幹のリハビリ

  • 上肢・体幹の筋力維持は、松葉杖歩行やトイレ動作に直結
  • オペ直後からベッド上でチューブ抵抗運動・座位バランス訓練が可能

○健側下肢のトレーニング

  • 健側下肢の筋力維持により、歩行再開時の左右差を軽減
  • 単脚立位バランス訓練(非患側支持)で、荷重再開期への準備にもなる

○ADL動作練習(早期松葉杖歩行の獲得)

  • 早期に松葉杖歩行訓練を進めることで全身の耐久性の向上、バランスの向上につながる

5. まとめ

観点内容
浮腫管理下肢挙上・弾性包帯・足趾運動が基本。疼痛・感染兆候に注意。
運動療法非固定関節のROM訓練、体幹・上肢の筋力維持を早期から実施。
患部外リハ全身的廃用予防・離床促進を目的に、安全な範囲で活動性を高める。

👉「動かさないことのリスク」を常に意識し、
整形外科医の指示のもとで段階的・安全に身体機能を維持する
ことが急性期PTの役割です。

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